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第22-0話 手形の赤黒い跡

작가: 百舌巌
last update 최신 업데이트: 2025-03-14 11:02:56

誠の母の怪談話。

 霧湧村には見晴らしの良い山の頂上に無線の基地局がある。携帯電話やテレビ放送を中継させる基地局だ。基本的には無人化されているのだが、今回の騒動の最中に故障してしまった。そこで修理の依頼を受けた会社が作業員の広瀬と加藤を二名派遣してきた。

 修理と言っても部品を順番に取り替えるだけだ。それで治ったのなら、該当する部品を持ち帰って詳細に原因を究明する。駄目なら他の部品を取り替えるだけだ。

 作業員はメンテナンスの時にも訪れているので気軽な気持ちでやって来ていた。しかし、いくら部品を交換しても故障が直らず、時間もかなり過ぎているので、一旦会社に引き上げようということになった。

 山道を車で降りている時に、崖のちょっと広くなった場所に来たと思ったら、エンジンがいきなり停止してしまった。

「え? なんだよ……」

 運転していた広瀬が再びエンジンをスタートさせようとイグニッションキーを回した。しかし、セルモーターが回るだけで一向にエンジンがかからない。

「ガス欠? 勘弁してよ……」

 しかし、山に登るときの鉄則として、山に入る前に満タンにしてある。ならばエンジン故障なのかもしれないと広瀬は考えた。

「くそっ、エンジン見てみるわ」

 広瀬がシートベルトを外そうとした時に、いきなり助手席の加藤に手を掴まれた。見ると加藤は頭を振っている。

「あ? 見てみないと解らないだろ?」

 広瀬が加藤に言った。しかし、それでも加藤は頭を振っている。

「…… あそこに何か居る……」

 加藤は自分の肩越しに森の中を指差していた。

『…………』

 その時、窓越しに何かが聞こえているのに気がついた。

「え?!」

 振り返ってみると何やら黒い影が居るのがわかる。灯り一つ無いので暗闇のはずなのにだ。森の暗さの暗闇とは違う種類。深遠の暗闇と表せばいいのだろうか。光が吸い込まれていくような暗闇だ。その黒い陰が少しづつ車に近づいて来るのだ。

『…… ってよぉ……ぉ』

 やがて声がハッキリと聞こえ始めた。それは子供の声だ。最初に見ていたのは一人のようだった。

 広瀬は咄嗟に山の中で迷子になった子供かと思った。

『ねぇー、まってよぉぉぉ』

 また、声が聞こえたと思ったらソレは二人分の影になった。

『ねぇー、まってよぉぉぉ』

 黒い影は正面からもやってきて、ヘッドライトに捕まる前に左右に別れて通り過
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     雅史は霧湧村で起こっていた、数々の異常現象の原因は、山が崩壊する時の微振動だったのではないかと推理していた。岩同士がこすれ合うと、電磁波を起こすのは良く知られている事だ。 いきなり空き家が地面に吸い込まれて行ったのも、崩壊前の地面移動に従って岩盤に隙間を作ってしまい、そこに飲み込まれたのだろうと推測している。「彼等にとってそれが精一杯なのかも知れないね……」 神様といっても人間に都合の良い存在とは限らない。「そういえばお寺で私が聞こえていた異常な周波数の音ってどうして発生していたんですか?」 姫星は霧湧村の寺で幽霊が見えるとパニックに成っていたのを思い出した。高周波は新設されていた、監視カメラのスピーカーで再生できるが、低周波はそれなりのサイズが無いと無理なのだ。 そして幻覚は高周波より低周波の方が見えやすいとの研究結果もある。「推測だけど、山体が崩壊する時に、石同士の摩擦で発生した音が、洞窟か何かで増幅されたんじゃないかと思う」 あの時に逆送波を作るために録音したデータはまだ持っている。そのうち解析してみようと思うが今は暇が無い。崩壊した霧湧村を管轄する県庁の土木事務所から、詳細な情報の提供を求められているのだ。「そういえば動物たちも逃げ出してたわ……」 霧湧神社の帰り道で出くわした猪や鹿を思い出していた。あの動物たちも助かったのだろうか。確認する手段が無いのがもどかしかった。「うん、動物は人間には聞こえない周波数も聞こえるからね。 人間が幻覚を起こせるくらいの異音だと、動物たちにも酷い影響が出たんだろう」(そういえば怯えた目をしていたっけ……) 姫星が思い出してると、ふと疑問に思う事があった。「…… そういえば、どうしてまさにぃは何とも無かったの?」 パニックになって泣き出した自分を励ましながらも、冷静に対策法を考え着いた雅史を思い出したのだ。「ぶほっ!…… 人間、年を取る

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    「にゃあっ!」 急な発進で姫星が悲鳴を上げた。どうやらシートの頭部クッションに頭をぶつけてしまったらしい。「まさにぃ…… どうしたの?」 姫星が不思議そうな顔で聞いてきた。頭をぶつけて目が覚めたらしい。「山が崩れ始めているっ!」「グズグズしてると巻き込まれてしまうそうまなんだよ!」 姫星は慌てて山を見て驚いた、どこを見ても黒い土煙りに覆われているのだ。一方、後部座席の美良はニコニコしていた。 雅史は北のバイパスに向かうのは諦めていた。村人が殺到して渋滞するのが目に見えていたからだ。渋滞しているところに土砂崩れに襲い掛かられたら終わってしまう。 そこで、雅史たちを載せた車は、霧湧トンネルを目指すことにしていたのだ。舗装していない道路を砂ぼこりを上げながら疾走させていた。すると走っている右手の森が動いているのが見えた。「まずいっ こっちでも崩れ始めたっ!」 一本の木が道の前に横たわっていた。しかし、バックミラーに後ろから土砂崩れが襲い掛かってくるのが見えている。 雅史はやむなく直進を続けた。道路の端と森の際に、無理やり車体を押し込んで、抜けようと考えていたのだ。すると、倒れた木の根元に大きな石が乗り上げて木を跳ね上げた。 シーソーのようだった。塞いでいた木が跳ね上がった隙に、雅史たちの乗った車は通り抜ける事が出来た。(シーソー……… 均衡…… っ!!!) 姫星はハタと気がつく。跳ね上がった木は車が通り過ぎると轟音を立てながら再び道を塞ぐように倒れてきた。「そう言う事なのっ! やっと、今になって意味が分かったっ!」 小型車並みの大きさの岩が目の前に転がり出てきた。雅史はハンドルを操りながら左によけ、今度は木にぶつかりそうになったので左によける。「何が分かったんだ?」 落ち来る石や枝を避けようと、雅史の運転する車は右に左にと揺られている。姫星の身体もそれに合わせて一緒に揺られていた。

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